コーラ白書
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コーラの準備があまりに順調だったので、私の中に小さな油断が生まれていたのかもしれない。

説明書によるとカーボネーションには華氏68〜80度(20〜27℃)で2日程度が目安で、その後は1日1回状態をチェックするようにとある。発酵の速度は当然温度に依存し、温度が高いほど早い。

このコーラを作った4月初旬はまだ冬の気配が残り、例年なら開花している桜もまだ硬い蕾のままだった。また新年度で仕事が立て込んだこともあって・・・・いや、言い訳はやめよう。結果としてコーラは1週間放置された。

そして誤算だったのが、この放置していた間に急に春がやってきたことだ。

コーラを保管していた部屋の温度は、まさに右肩上がり。最後の週末には最高気温18.5℃を記録していた。

1週間後、恐る恐るコーラを確認してみると、先週はペコペコ凹んだペットボトルがパンパンに張っているではないか。特に1リットルPETに入れた三温糖コーラがやばい。内圧が高すぎて、コーラの息遣いが聞こえてくるようだ。

説明書には「もしボトルが岩のように硬ければ、オーバーカーボネートされていて味が落ちているかもしれません」と書いてある。まさに目の前にあるペットボトルがそれだ。

その下には小さなハザードマークとともに、もしボトルが泡立っている場合は大人の一緒にゆっくり栓をあけて圧力を逃がすようにとの注意書きが。こちとら立派な大人だが、こんなパンパンなコーラを開ける自信はない。

最悪の事態を想定し、ペットボトルを浴室に移設する。これならどれだけ吹きこぼれても水で流せば大丈夫。怒られることはないはずだ。

浴槽の中にペットボトルを設置し、ゆっくりと蓋を回すと・・・・

 

 ボンッ!

 

 

爆発音とともに天高く立ち上るコーラの水柱。昇竜のごときCaveman Colaは天井を直撃し、茶色い雨となって浴室に降り注ぐ。あまりの展開に、コーラまみれになりながら立ち尽くす俺。

浴室の天井の被害状況

そしてペットボトルに残ったのは、コップ一杯分のコーラのみ。まさにパンドラの箱のようだ。

ちなみに黒糖の500mlも爆発。1.5リットルの上白糖は、ボトル内の空気の量が多かったのが幸いして小規模な被害に留まった(それでも吹いた)

 



開封だけでもうグッタリだが、ここからが本番。Caveman Colaを飲んでみることにする。

グラスに注いでみると、濁った濃いコハク色の液体であることが分かる。「無濾過ビール」のコーラ版である。あれだけの爆発の後ながら、炭酸はまだ残っているようだ。

恐る恐る飲んでみると・・・ あれ、美味しい。

ちょっとフレーバーが薄いが、ちゃんとコーラの味がする。発酵のせいか雑味あり、これがしっかりとした飲みごたえを生んでいる。強炭酸とはいかないが、清涼感を感じる程度の炭酸は残っている。

そして後味にほんのりとビール的な香りが残るのも面白い。少しアルコールもできているようだが、法律の定める1%を超えていることはなさそう。これに酸味料とカフェインで全体を整えれば、立派なホームメイドコーラになりそうだ。

砂糖の種類でいえば、黒糖を使ったものがコクがあり最も美味しかった。三温糖と上白糖ではあまり差はなく、こちらはややスッキリした味わいになった。

まぁぶっちゃけた話、市販のコーラに比べて格段に美味しいとかそういうことはないけれど。


 

不可能と思われたコーラの自作を可能にした画期的なDIYキット「Caveman Cola」。子供向けの科学玩具の位置付けだが、大人でも十分に楽しめる内容だった。ただし炭酸の状態はこまめにチェックすることをオススメしたい。